<八王子市のスミレ>

八王子市では高尾山を中心に25種以上のスミレが見つかっています。春の山野を歩いていてスミレを見つけると何かほっとして暖かい気持ちになってしまいます。

 

私に撮影できたスミレを掲載しますが、私のような素人には、スミレの見分けはなかなか難しいのです。間違っている際にはご指摘くださるとありがたいです。 また、まだ名前を付けていないスミレの名前を教えてください。

◎ スミレ(菫)、ノジスミレ(野路菫)、 ロバナスミレ(白花菫)?、ヒメスミレ(姫菫)、アリアケスミレ(有明菫)

スミレはスミレ科スミレ属の植物のうち Viola mandshurica という種の和名で狭義のスミレです。花の側弁に毛があり、葉は長楕円状披針形で葉柄に翼があるのが特徴。人家近くに最も普通に生え花色は濃紫色だが白色もある。花期は4~5月。

 

ノジスミレは日当たりの良い道端や野原に生え、花期は3~4月。花はスミレとよく似ているが芳香があり、葉柄の翼はスミレほど目立たず、葉は楕円状披針形。シロバナもあるらしい。

 

シロバナスミレはスミレの白色品種。この花がシロバナスミレ(スミレの白色種)かシロノジスミレ(ノジスミレの白色種)か自信がありません。側弁に毛があるのでシロバナスミレとしましたが葉柄の翼がないように見えます。どなたかご教示くだされば幸いです。

狭義のシロスミレは高地性のスミレなので当地にはないと思います。

 

ヒメスミレは人家近くで日当たりの良い道端や石垣に生える。スミレに似ているがスミレより小さく葉の形も細長い三角形で、スミレと違い葉柄に翼はほとんどない。花期は4月。

 

アリアケスミレも人家近くに生え、花の色は白色に紫色の筋が入りその濃淡により花の色は白から紫に近い色まで変わり側弁に毛がある。葉はスミレに似た長楕円状披針形で花期は4~5月。

◎ 不明種1

不明1:2012年5月8日に奥高尾で撮影したものです。種々調べましたが分かりません。

◎ 不明種2

不明2:2014年5月8日に不明1と同じ奥高尾で撮影したものです。不明1とよく似ていますが葉の様子が柔らかい感じがします。

◎ 不明種3

不明3:2013年12月6日に撮影したものです。ナガバノスミレサイシンに似ていますが葉が異なるようです。エイザンスミレとナガバノスミレサイシンの自然交雑種フギレナガバノスミレサイシンでしょうか?

◎ アケボノスミレ(曙菫)、ナガバノアケボノスミレ(長葉の曙菫)

アケボノスミレは大きな花を持ち距は太く短い。葉は開花後に遅れて出てきて内に巻いておりその後開いてくる。花期は4~5月で明るい尾根筋の草地などに咲く。

 

ナガバノアケボノスミレはアケボノスミレとナガバノスミレサイシンとの交雑種で両者の中間的な姿をしている。葉がやや長いが、内側に巻くというアケボノスミレの特徴が残っている。地下茎で増えるため他の交雑種より長く生育し群生することが多い。

◎ アオイスミレ(葵菫)

葉は丸く多毛で花は淡紫色で側弁はあまり開かない。沢沿いのやや湿った林縁等に春早く3月中旬から4月中旬頃に咲く。

◎シハイスミレ(紫背菫)

東日本にはやや稀だが、西日本には多いスミレ。やや小型で花は淡紅紫色から濃紅紫色まであり、葉は光沢があり背(裏)が紫色。日当たりの良い山地に生育し、落葉をかき分け早春3~4月に花を咲かせる。

◎ ヒカゲスミレ(日影菫)とタカオスミレ(高尾菫)

ヒカゲスミレは川沿いの林下に群生する。タカオスミレ(別名ハグロスミレ)は葉の表面がこげ茶色をしたヒカゲスミレの一型で高尾山で初めて見つけられ名付けられたものです。いずれも 4月上旬から5月上旬頃咲きます。

高尾山周辺だけでなく、我が家の近くの公園でも見られるのは嬉しいことです。 

◎ タチツボスミレ(立坪菫)、オトメスミレ(乙女菫)、シロバナタチツボスミレ(白花立坪菫)、ニオイタチツボスミレ(匂立坪菫)、マルバタチツボスミレ(丸葉立坪菫)?、アカフタチツボスミレ(赤斑立坪菫)

タチツボスミレは最も普通に多く見られ3月下旬から5月中旬まで見られる。葉はハート形で先がやや尖っている。

  

オトメスミレはタチツボスミレの白花品種で距の部分だけ紫色が残っているものをいいます。牧野富太郎博士が箱根の乙女峠で発見したという。

 

シロバナタチツボスミレは距の部分も白化した品種です。なお、最後の2枚で見られるとおり、葉の付け根に細かく切れ込んだ托葉があるのがタチツボスミレの特徴。

 

ニオイタチツボスミレは葉の先がやや丸く、花は濃紫色で真ん中の白い部分が目立つ。その名の通り香りが強い。2枚目のは匂いがしなかったのでマルバタチツボスミレかもしれない。私にはニオイとマルバとの違いが分かりません。

 

アカフタチツボスミレは葉脈に沿って赤紫色の斑が入るタチツボスミレ。花の色がやや濃いように見える。 

◎ エイザンスミレ(叡山菫、別名:エゾスミレ){シロバナエゾスミレ(白花蝦夷菫)}、ヒゴスミレ(肥後菫)、ヒラツカスミレ(平塚菫)

エイザンスミレ(別名:エゾスミレ)は葉が大きく3裂しさらに細かく分かれるのが特徴。花は大きめで4月上旬から5月上旬頃に咲き、花の色は白からピンク、紅紫色まである。沢沿いや林下によくあります。白花のエイザンスミレはなぜかシロバナエゾスミレという。

 

ヒゴスミレはエイザンスミレとよく似ているが葉が大きく5裂しそれがさらに細かく分かれる。エイザンスミレの葉より細く細かい。日当たりの良いところに生える。奥高尾や陣馬山方面にある。エイザンスミレより少し遅く4月中旬~5月中旬頃咲く。

 

ヒラツカスミレはエイザンスミレとヒゴスミレとの自然交雑種で両者の中間的形態をとる。花はピンクがかかり、葉は3裂から5裂になっている。

◎ ツボスミレ(坪菫)

別名ニョイスミレ(如意菫)ともいう。小さな白い花で下弁に紫色の細かい筋が目立ちます。湿った沢沿いの林縁や里山の道端等に4月上旬から5月中旬ころに咲きます。小さな花に気が付かないと雑草のように見える。

◎ コミヤマスミレ(小深山菫)

コミヤマスミレは高尾山で他のスミレが咲き終わった頃4月下旬から、沢沿いの暗い道端などで多くみられる。

花は小さくツボスミレにも似たところがあるが、8枚目の写真のようにコミヤマスミレの萼には毛があり反り返るので違いが分かる(9枚目のツボスミレの写真と見比べてください)。また、葉の中心部の葉脈が赤黒く見える。

◎ アカネスミレ(茜菫)、オカスミレ(丘菫)、フギレオカスミレ(フギレ丘菫)

アカネスミレは距や茎など全体的に毛が多いのが特徴で特に側弁に毛が密生する。4月上旬から5月中旬に名前の通り茜色の中型の花を咲かせます。

 

側弁のみに毛が密生するのがオカスミレで、コボトケスミレ(未掲載)はアカネスミレの純白品種です。

 

フギレオカスミレはエイザンスミレとオカスミレとの自然交雑種。葉にギザギザがあるのが特徴で花はオカスミレと同じです。 

◎ コスミレ(小菫)

名前に似合わず大型の花で3月下旬から4月中旬に咲きます。距は下がり気味で葉裏はうっすらと紫色を帯びるものが多く、人家の近くや明るい林の中などにみられます。6番目のピンクのスミレはコスミレか否か自信ありません。

◎ ナガバノスミレサイシン(長葉の菫細辛)

名前の通り長い葉を持った大型のスミレで淡紫色から白色のものまであります。3月下旬頃から咲き始め4月中旬頃まで咲き、沢沿いの湿った林下や林縁に多い。距が太くて短いのが特徴。

◎ ヒナスミレ(雛菫)、フイリヒナスミレ(斑入雛菫)

明るい林縁等で3月下旬から4月中旬淡紅色の花を咲かせる。葉は細長い三角形で基部は深く湾入します。

 

フイリヒナスミレはヒナスミレの変種で葉に白い斑が入る。 

◎ マルバスミレ(丸葉菫)

沢沿いの明るい斜面などに4月上旬から5月上旬ごろに咲き、丸い葉と白い花をつけ群生することが多い。葉や茎などに毛が多いのもあるのでケマルバスミレ(毛丸葉菫)とも呼ばれる。

◎ アメリカスミレサイシン(亜米利加菫細辛)(Viola sororia)

北アメリカ原産の外来帰化種。プリケアナ(花弁が白で基部が紫色)とパピリオナケア(紫色)の2種類ある。プリケアナは住宅地で、パピリオナケアは陣馬山麓で撮影。根が太く繁殖力が強いとのこと。距が太くて短く側弁に毛が多い。

◎ スミレの閉鎖花と果実と種子

スミレは春の花の時期が終わっても、夏から秋にかけて果実を結びます。これはスミレが閉鎖花という花を持ち、花を閉じたまま自家受粉して繁殖活動をするからです。

<八王子市以外で撮影したスミレ>